米金利上昇、新興国を直撃=資金流出で通貨安止まらず

AAx93LQ[1].jpg


米長期金利の上昇をきっかけに、新興国から投資資金が流出する動きが強まっている。資産運用面で魅力の高まった米国に投資マネーが流入し、ドル高が進行。アルゼンチン、トルコなどは通貨安が止まらず、通貨防衛に追われる。米金利高が新興国を直撃した格好で、好調を維持してきた世界経済の先行きに不透明感が出てきた。
 「事態は想定より早く起きた。適切な措置を早急に講じる必要がある」。フィッシャー前連邦準備制度理事会(FRB)副議長は金融市場の変調に警鐘を鳴らす。
 米金融政策の正常化を背景に10年物米国債利回りは4月下旬、3%台に上昇。異例の金融緩和で米国などから新興国に流れ込んだ潤沢なマネーが逆流し始めた。国際金融協会(IIF)によると、4月16日から今月4日までに新興国の債券投資から66億ドル(約7200億円)の資金が流出した。2013年5月にバーナンキFRB議長(当時)が量的緩和の縮小を示唆して市場が混乱した際の流出ペースを上回ったという。
 市場の荒波に揺れるのは、経済構造が脆弱(ぜいじゃく)な新興国。アルゼンチンは年初から通貨ペソが対ドルで2割超下落した。4月27日から今月4日までに3度利上げして政策金利を40%に引き上げたが通貨安に歯止めはかからず、国際通貨基金(IMF)への支援要請に追い込まれた。異例の「100年債」発行など世界的な金融緩和の恩恵を享受した同国は01年のデフォルト(債務不履行)以来の試練に直面する。
 トルコも4月下旬に利上げしたが、通貨リラの下落は止まらず、最安値を更新。通貨安はインドネシアやインドなどにも広がり、「ヘッジファンドの投機的な売りが警戒される」(米エコノミスト)という。
 自国通貨安は、ドル建て債務の返済負担を重くするほか、通貨防衛のための利上げで景気を冷え込ませる恐れがある。パウエルFRB議長は「米国の金融政策の影響力が誇張されている」などと利上げ路線を続ける方針を示すが、新興国の混乱が世界経済のリスク要因に急浮上してきた。 

この記事へのコメント